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かけちゃんねる2

エモいことを書く

【書評】脳科学は人格を変えられるか?

 

脳科学は人格を変えられるか?

脳科学は人格を変えられるか?

 

あなたがものごとをどう見るか、そしてそれにどう反応するかによって、実際に起こることが変化する。(中略)あなたの行動のスタイル、ものごとの捉え方、そして生きる姿勢こそが、あなたの世界を色づけ、あなたの健康や富を、そして幸福全般を規定する。

いやー、もう導入から面白い。

水が半分入っているグラスを見て、「グラスの半分が空っぽだ」と考えるか、「グラスに半分も水が入っている」と考えるか。
著者は前者のネガティブな心の動きを「レイニーブレイン(雨天脳)」、後者のポジティブな心の動きを「サニーブレイン(青天脳)」と呼んでいる。
そして、大事なのはレイニーブレインとサニーブレインのバランスである、と(ここにフォーカスするのは最終章)。

本書は、楽観的な人々と悲観的な人々のさまざまな経験を例に引きながら、現代の最先端の科学を複数の分野にわたって論じられている。

ぼく自身、環境の影響を受けやすいタイプの人間で、頭では大丈夫だと思っていてもどうしても身体が恐怖を感じてしまうケースはしばしばある。
怖い出来事と怖いものを結びつけるのがどうも脳は得意なようで、「なるほど、そういうことか!」と自分ごとで読み進めていけた。
これまで読んだ本で「悩み」を解決するためには物事を一段、概念度をあげて、大局的に思考することの大切さが説かれていたりしたんだけど、
本書でもまさに同じようなことが書かれていて、それが実験や調査にもとづいた結論というのも相まって、点と点を繋げながら腹に落とすことができた。

人が恐怖を感じるメカニズムとして、人類の祖先が激しい嵐や捕食者などの脅威から逃れるため発達したとされる扁桃体をはじめとした原始的な組織(恐怖のアクセル)があって、そういった原始的な組織が、高次な大脳皮質(恐怖のブレーキ)に対して過剰なほど大きな力をふるう。
しかも、扁桃体から大脳皮質の各部に向かう経路は、大脳皮質から扁桃体へと戻る回路よりずっと多い。
なんだかもうそっちのほうが“脅威”だな、って思いますね。

 

これまでの実験で、セロトニン運搬遺伝子*が短い(発現量が低い)人が非常にストレスに弱いことがわかると、その遺伝子型には「脆弱」「感じやすい」などのレッテルが貼られてきたけれど、最近の研究で、「セロトニン運搬遺伝子の発現量が低い人は高い人に比べ、ポジティブなものでもネガティブなものでも感情的な背景に非常に敏感である」という結論に落ち着いたみたいです。
これはたとえセロトニン運搬遺伝子が長くなくても、ポジティブに感じられる環境下ではその遺伝子が短い人のほうが高いパフォーマンスを発揮できることの証左であって、救いがあるなあと。

 

*セロトニン運搬遺伝子とよばれる遺伝子は脳内のセロトニンのレベルを適正に保つはたらきをする。セロトニンはほかの神経伝達物質と同じくさまざまな働きをするが、なかでも一番重要な機能が気分の安定。


神経科学者たちは長い間7歳くらいを過ぎると脳は変化しないと信じてきたけれど、最近の研究でそれは覆されてきていて、脳にはもっとフレキシブルさがあって、可塑性があると。明るくていい!
また、科学的な研究から幸福を感じるには次の3つの要素があわさることが大切であるとされていて、

1.ポジティブな感情や笑いを数多く経験すること。
2.仕事であれ趣味であれ、自分がしていることに積極的にかかわること。
3.今日明日ではなく長期的な視野で人生に意義を見出すこと。

3はまさに、いま学内のプロジェクトでやっている「志」に通じてくるところ。がんばろう。