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かけちゃんねる2

エモいことを書く

「仮説を立てる」の本当の意味!?『ぼくらの仮説が世界をつくる』【書評】

Book

昨日、初めて読書会というものに参加しました。
朝の10時にカフェに集まって、ティーを飲みながら読んだ本について語り合う会。優雅かよ。
そこで簡単に本の紹介をしたのでここにログを残しておきます。

僕が紹介した本は『ぼくらの仮説が世界をつくる』です。
著者は『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』に編集者として携わって、いまはコルクという会社の代表を務めている佐渡島康平さんです。

宇宙兄弟(1) (モーニング KC)

宇宙兄弟(1) (モーニング KC)

ドラゴン桜(1) (モーニング KC)

ドラゴン桜(1) (モーニング KC)

彼が編集者として仕事をしてきた中での気付きや、経営者として意識されていることなどが書かれていて示唆にとみます。

「仮説を立てる」の本当の意味

宇宙兄弟』がヒットする前のころの話、過去のデータに照らすと『宇宙兄弟』がヒットする可能性は低かったのです。
というのも、その頃の『宇宙兄弟』の読者は男性が7割だったんだけど、売れている漫画っていうのは読者の7割が女性だったんですね。
書店のマンガコーナーに行くのは女性のほうが多いから、売れにくいと。
男性のファンが多い理由として考えられるのは、「宇宙」を好むのは女性よりも男性のほうが多いということ。

ただ、彼は過去の経験の見えないデータから一つの仮説を立てるわけです。
「女性読者が増えると、『宇宙兄弟』がヒットし始める」と。
そこで、女性に絞ってプロモーションを仕掛けていくわけだけれど、そこの行き着く先が結構面白くって。
どこに宣伝費用をかけたかというと、美容室なんですね。

「女性は何が好きだろう?」「日常どういうふうに行動しているだろう?」「どんな場所で本を手に取るだろう?」「見る映画をどうやって決めているだろう?」……そんなふうにひたすら考えました。
そして、「女性がよく行くところで、影響力がある場所はどこだろう?」と考えていたときに、ふと「美容室だ!」と思い浮かんだのです。

ここで思うのは、観察の重要性ですよね。
実際の「人(ここだと女性)」が日頃からどういう行動をとっているのかということを観察することによって、美容室という答えが浮かぶわけです。人間中心主義的ですね。
で、まあ売れたわけだからその戦略は成功したわけなんですが、その要因のひとつとしては、センスのいい人がオススメするものに興味を示すという心理をついたことがあります。
美容室って髪を切ってくれる人のセンスを認めているからそこに行くという側面がありますし、その人が勧めてくるわけですから、読んでみようかなという気持ちになるわけです。

このストーリーが彼の何の主張を補強するかというと、「情報→仮説→実行→検証」ではなく「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」という順番で思考することが大切であるということです。

決断するために集めた情報の多くは、「過去」のものです。それに頼ると、気づけば「前例主義」に完全に陥ってしまいます。前例主義にならないためには「先に」仮説を立ててみることです。そしてその仮説を補強・修正するために、情報を集めてくる。その順番が大切なのです。

過去の情報に照らして、できる・できないと決めつけるのではなく、先に仮説ありきということですね。
すごく当たり前のことを言っているようで、実行するのは難しいことだなと思います。
なぜかというと、私たちは脳を省エネで使用するために、無意識のうちに過去の自分の選択した行動から、過去と同様の仮説を立てて実行してしまう癖があるからです。
つまりほぼ無意識のうちに、前例主義的な思考をしてしまっているのです。

多くの人は重要な決断を迫られたときに、できるだけたくさんの情報を集めて、それから仮説を導くと思います。でも、そうしていると新しいことは何も生まれません。(中略)仮説をたてるときは、誰でも得られるような数字のデータではなく、「日常生活の中で、なんとなく集まってくる情報」そして「自分の中にある価値観」のほうが大切なのです。

佐渡島さんも言っていますが、過去のデータをみて未来を予測するのであれば人工知能で十分なのです。
これから求められるのは、自分の過去の経験として積み重なっている見えないデータを基に、私たち人間が判断を下していくことなのかもしれません。

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる