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かけちゃんねる2

エモいことを書く

トラブルシューティングから学ぶ仮説の立て方

先入観に囚われて、仮説を誤ってはいけない

問題解決に際して、よく知っているものや、自分の好きなものだったら、どういう風に仮説を立てたらいいかのイメージが容易である。 安い飲み物を買うために、近くのコンビニよりもちょっと遠いスーパーのほうが安価で購入できるのではないかとか、メガネをかけていてボヤけた感じがしたのでもしかしてレンズが汚れているのではないかとか、そういったことだ。 これは生きる力であり、暗黙知として共有されている。 しかし問題なのは、ちょっとした先入観がこの仮説の立て方にバイアスをかけてしまうということだ。

昨日、シェアハウスのある住人が「パソコンがWi-Fiにつながらなくなった」と言い出した。 しかたがないので、診断に付き合うことにしたのだけれど、そこに現れたのはなんだかちょっと懐かしい感じのするゴツめのノートパソコン(Windows機)だった。 デスクトップをひらくとなんだかよくわからないアンチウイルスソフトが起動していて、ファンが高速に回転を始める。 とりあえずあらゆるソフトを停止しようとしたけれど、お世辞にも直感的とはいえないようなレスポンスの遅さをアピールしてくる。 あっ、これはだめだな、と思った。おまけに、いつも快適なMacのUIに慣れてしまっている僕はそのパソコンのポンコツっぷりしいてはWindowsという基本ソフトに対してもイライラしてきた。 もう、この時点で僕は正しい課題解決のための道をじりじりと踏み外してしまっていた。 コントロールパネルをひらいて、Wi-Fiをオンにするためのボタンを左クリックしてもピクッと一瞬オンになるアニメーションが表示されたのちにまたすぐオフになってしまう。 あっ、これはだめだな、と思った。 そして、なんで僕は、こんなよくわからないもののために家で過ごすことのできる貴重な時間を割いているのだろうなどと考え出したから、提案したのは「初期化しよう」ということだった。 なんかもう全部リセットしたほうがいいはずだと漠然と思った。そしたらなんかよくわかんないけど直るんじゃない?とか他人事のように考えていた。

それから初期化のための方法を調べて、死者蘇生をおこない始めた。 ただいま初期化しています、の表示が出てびっくりするくらい進捗が遅いのを見て、呆れた僕たちはホッケを買いに出かけた。

そして帰ってきたときには、初期化が終わっていた。僕はあいかわらずWi-Fi設定のウィンドウを開いて、Wi-Fiをオンにするボタンを必死に左クリックした。何度も何度も左クリックした。Wi-Fiがオンになることはなかった。 もうパソコンのことなんか放っておくしかなかった。壊れたパソコンのことなんて忘れて炊きたてのご飯とホッケを食べた。 ホッケには醤油をかけた大根おろしを添えて、味噌汁もつくって完璧な食卓だった。

そしてやっぱり魚はすごいのだろう。食事の後にパソコンの前に向かったぼくはこれまでとは違っていた。冷静にトラブルシューティングを実行して、彼の指示に従ってみることにした。 今の状況を選択していったのちに、導き出された仮説は次のものだった。

「PC本体のWi-Fiスイッチはオンになっていますか?」

電源ボタンの横にある、Wi-Fiスイッチがオフになっている様子をみて、僕たちは大笑いした。